近い将来、高齢者の5人に1人が認知症という時代がやってきます。

認知症と聞くと代表的なのが、「アルツハイマー型認知症」です。しかし、「アルツハイマー型認知症 = 認知症」ではありません。アルツハイマー型認知症は、認知症全体の約6割にも及び、その名前は広く知られていますが、約2割は血管性認知症、1割弱はレビー小体型認知症、これに前頭側頭型認知症(ビック病)を加えて、認知症の四大原因疾患とされています。

今回は、認知症患者の約1割弱を占める「レビー小体型認知症」について、症状、治療、また家族を含めた向き合い方について解説していきます。

「レビー小体型認知症」とは

超高齢化社会の日本においては、認知症はもはや国民病とも言えます。これまで日本経済を支えてきた団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年には、「高齢者の5人に1人が認知症になる」と推測されています。その数は700万人を超えると予想されています。

出典:厚生労働省老健局 令和元年6月20日発表 認知症施策の総合的な推進について

また、一言で認知症と言っても、冒頭で説明した通り認知症には様々な種類があります。

それぞれの原因と症状について見ていきましょう。


認知症の種類

■アルツハイマー型認知症

◆脳内にたまった異常なたんぱく質により神経細胞が破壊され、脳に萎縮がおこります。

【症状】
昔のことはよく覚えていますが、最近のことは忘れてしまいます。軽度の物忘れから徐々に進行し、やがて時間や場所の感覚がなくなっていきます。

■脳血管性認知症

◆脳梗塞や脳出血によって脳細胞に十分な血液が送られずに、脳細胞が死んでしまう病気です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が主な原因です。

【症状】
脳血管障害が起こるたびに段階的に進行します。また障害を受けた部位によって症状が異なります。

■レビー小体型認知症

◆脳内にたまった異常なたんぱく質により神経細胞が破壊され、脳に萎縮がおこります。

【症状】
昔のことはよく覚えていますが、最近のことは忘れてしまいます。軽度の物忘れから徐々に進行し、やがて時間や場所の感覚がなくなっていきます。

■前頭側頭葉型認知症

◆脳梗塞や脳出血によって脳細胞に十分な血液が送られずに、脳細胞が死んでしまう病気です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が主な原因です。

【症状】
脳血管障害が起こるたびに段階的に進行します。また障害を受けた部位によって症状が異なります。

レビー小体型認知症の症状には、記憶障害や判断力の低下の他に、幻覚(幻視)などが現れるのが主な特徴です。本当は実在していないのに、小動物や虫、子供等がとてもリアルに見えるようになり、「知らない人が家に入ってきた」等といった妄想に発展するケースも少なくありません。

「レビー小体型認知症」の治療法

現在、「レビー小体型認知症」の根本的な治療法は見つかっていません。しかし、その治療法は確立されています。それは、薬物療法と非薬物療法の2つです。

薬物療法は、症状の進行具合を見ながら薬が処方されます。人によって薬の内容は変化しますが、用法用量を守って服用することでより良い治療が行えます。体調等に何か異変があったときは、すぐ主治医に連絡することが大切です。

非薬物療法は、脳を活性化させることと、住環境を整えることによって行われます。具体的には、適度な運動や音楽を聴くこと等によって脳に良い刺激を与え、活性化させます。住環境は、部屋を明るくしたり、バリアフリーで手摺をつけたり、段差をなくすことで快適な住まいになります。これによって、幻覚(幻視)を軽減させる場合があります。

しかし、薬物療法も非薬物療法も完璧ではありません。「レビー小体型認知症」の症状が深刻になれば薬の飲み忘れや、症状を自覚できない可能性もあります。そのときは家族の協力、または介護サービスを利用してより良い治療を続けましょう。

「レビー小体型認知症」と対策

日本では平成27年1月27日に、「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」という取り組みが始まりました。その目的は、 「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」を推進していくことにあります。厚生労働省だけではなく、地域、医療、介護、認知症の人、その家族等、多くの人や団体が「新オレンジプラン」にとって必要不可欠な存在なのです。

認知症高齢者等にやさしい地域づくりの推進

「レビー小体型認知症」との向き合い方

落ち込む様子

さて、「レビー小体型認知症」と診断されたとき、どう向き合えばいいでしょうか。高齢者の約5人に1人が認知症、またはその予備軍になる時代に突入します。自分だけは大丈夫だと思わずに、正しい知識を得る事が重要になってきます。

また、「レビー小体型認知症」はうつ病などの精神疾患から移行しやすいことが知られています。老人性うつも抗うつ薬による治療やカウンセリングなどによって症状は改善されていきます。

認知症は進行性の病気です。まずは、初期の段階でいかに気づき、対策できるかが重要なカギとなります。高齢者の一人暮らしが増える中、初期段階に気づくことは難しくなっていきます。

高齢者を抱える家族は、初期のうつ状態など変化に気づいてあげることが、家族としてできる唯一のことかもしれません。また、元気のまま長く生きて欲しいという願いの元で、高齢者住宅などでプロの介護、見守りサービスなどを考慮することも一つの選択肢になります。

昨日まで当たり前にできていたことができなくなる明日を積極的に考える人は多くないでしょう。それでも、「レビー小体型認知症」という病気は実在します。正しい知識を身につけ、適切な対策を取ることも1つの向き合い方ではないでしょうか。自分のために、自分の周りの人のために、どうか考えてみて下さい。