高齢者が要介護状態になる原因とは何でしょうか?

認知症や加齢に伴う足腰の筋力の低下といった身体的衰弱を想像する方が多いのではないでしょうか?

内閣府平成30年版高齢社会白書 の調査によると、65歳以上の要介護になった主な原因は以下の通りとなり、高齢者の8人に1人は転倒やそれによる骨折が原因で要介護状態に陥っています。

65歳以上の要介護者等にみた介護が必要となった主な原因

また、転倒によって救急搬送された人の56%が自宅内の事故という事実も見逃せません。
つまり高齢者が一番安心して暮らしているはずの自宅が高齢者を要介護状態へ引き込む転倒リスクの最も高い危険な場所といえるのです。

救急搬送データからみる高齢者の事故

高齢者が自宅で転倒する注意するポイント

高齢者が倒れている様子

なぜ高齢者が住み慣れているはずの自宅で転倒事故が起こるのでしょうか?

その理由は簡単です。誰もがそうであるように自宅では一番気が抜けているからです。
一番慣れている環境だからこそ、ちょっとした何気ない動作で転倒してしまいます。


加齢によってゆるやかに筋力・視力等の身体能力が低下している高齢者にとっては、これまで当たり前にできていた階段の上り降りや、ちょっとした段差の移動といった動作がだんだんと困難になってきます。
しかも、困ったことにこういった高齢者の身体機能の低下による変化は高齢者本人だけでなく周囲の人も気づきにくいのです。
その為、一見安全に見える自宅内の動線に潜む転倒リスクを見直すことが必要になります。

カーペットやマットはずれたり引っかかったりしないか?
足元の動線を邪魔するようなものはないか?など
筋力の低下が顕著に表れる下半身の動作範囲=足元に高齢者にとっての転倒リスクがないか注意してみましょう。

1.滑りやすいまたはズレやすい床

フローリングの様子

高齢者でなくても滑って転倒しやすい場所。それは床が濡れて滑りやすくなってしまう浴室やキッチンです。またフローリングや、ズレやすいカーペット、マット、絨毯なども転倒リスクが高い場所といえます。
足元の冷えや膝への負担から高齢者を守るために設置したカーペットがかえって、高齢者の転倒を招いてしまうなんてことにならないよう設置する際には転倒防止の滑り止めを付けることをお勧めします。


高齢者でなくても滑って転倒しやすい場所。それは床が濡れて滑りやすくなってしまう浴室やキッチンです。またフローリングや、ズレやすいカーペット、マット、絨毯なども転倒リスクが高い場所といえます。
足元の冷えや膝への負担から高齢者を守るために設置したカーペットがかえって、高齢者の転倒を招いてしまうなんてことにならないよう設置する際には転倒防止の滑り止めを付けることをお勧めします。

2.生活動線に何気なく置いた荷物

積み重なった古新聞や雑誌の束、崩していない空っぽの段ボールですら高齢者の転倒を招いてしまいます。

ついつい玄関やキッチン、廊下にモノを置きがちなご家庭は一度置き場を見直す必要があります。

また寒い冬はこたつ布団ですら高齢者を転倒させてしまいます。
高齢者は手を伸ばして届く場所に物を置いてしまうことが多く足元への注意が散漫になりがちです。誰もが一度は足の小指を家具の角にぶつけた経験があるように、高齢者の場合やわらかいこたつ布団であっても足を引っかけて転倒する危険があるのです。

3.ちらばった電気コード

コードが足に引っかかる様子

どんなに低い位置であっても高齢者にとってモノを跨ぐ動作は転倒に繋がります。
その最たるものが電気コードです。前述の通り高齢者は歩行の際、足を高く上げることが困難です。ほんの少し張った電気コードであってもつま先に引っ掛けて転倒するだけでなく、電化製品の落下など大きな事故につながる危険性もあります。


4.夜間の移動

住み慣れた自宅では多少暗くても移動できます。しかし高齢者は違います。加齢により低下した視力での移動は明るい場所であったとしても危険を伴います。夜間トイレへ行く回数も増える高齢者のために廊下に明るめの人感センサー付きライトを取り付けましょう。

5.すべりやすい履物

スリッパ

スリッパなどの脱げやすいもの、滑りやすい靴下も転倒リスクが高く危険です。
着脱が面倒という理由で足全体が固定されるルームシューズを嫌がる高齢者は少なくありません。しかし、どんなに足元の動線を安全にしても、肝心の足元が滑りやすく不安定ではそれこそ本末転倒です。面倒でも脱げにくく滑り止めが付いているルームシューズを使用しましょう。


住環境の改善と健康維持で転倒予防

高齢者が安全に歩行・移動しやすいように廊下や浴室、階段に手すりを付けることももちろん効果的ですが、一番の転倒予防はなるべく床にモノを置かないことです。

広い動線を確保し、転倒の原因を取り除くことが高齢者の安全に繋がります。

しかし、一度綺麗に片づけても、「とりあえずここに置いておこう」と長年の習慣でまた散らかしてしまう高齢者も多いのが事実です。体力的にも片づけることが難しい場合は、家族や介護者が定期的に部屋を確認するようにしましょう。

1.片づけの習慣化には根気が必要

人が新しい行動を習慣化するには最低でも3週間かかるといわれています。高齢者ともなれば長年住み慣れた自宅で自由に生活してきた時間が長い分、より多くの時間が必要です。薬を飲んだり、栄養バランスの整った食事を摂ったりと同じように、自分の健康に繋がる行動をしているのだと意識することが大切です。また高齢者の家族や周囲の人は片づけができていないことを責めるのではなく、できるようになった部分に注目して褒めるなどポジティブな発言をするように心がけてください。

2.バリアフリー住宅へのリフォーム・引っ越し

手すりをつかむ様子

転倒のリスクを減らすことが難しい場合、リフォームで間取り自体を変えるのもひとつの手段です。
要介護認定を受けた高齢者の住宅改修には補助金制度もあります。
また思い切った引っ越しもお勧めです。
住み慣れた部屋から移動するのはちょっと…と思っても、転倒リスクだらけの家に住み続けるのは危険です。今住んでいる家からそれほど遠くない場所であれば、交友関係や日々の買い物の変化も心配ありません。また引っ越しは何よりの断捨離のチャンス。新しい部屋であれば、転倒しにくいすっきりした状態を保つ習慣も身につきやすくなるのではないでしょうか?

3.体力維持のためにバランスの良い食事と運動を

転倒のリスクを減らすには、高齢者自身の体力を維持することも重要になります。筋肉は使わないと衰えてしまいますが、逆をいえば高齢者であっても正しく鍛えれば成長させることができます。

しかし、運動習慣のない人が急に運動を始めると、腰痛や膝痛を起こす危険も。

運動を始める際は以下のことに注意してください。

  • かかりつけの医師へ持病の確認
  • 自己流トレーニングは避ける
  • 簡単な柔軟体操から始める
散歩する高齢者の様子

筋力低下を防ぐには継続した運動が不可欠です。椅子や手すりにつかまり、ゆっくりかかとを上げ下ろしするだけでも毎日続けることが大切です。
また野菜の多い食事を心がけるあまりタンパク質が不足してしまっている可能性もあります。
ご存知の通り筋肉はタンパク質でできています。

赤みの肉や、魚、大豆製品など良質なタンパク質を積極的に摂るよう心掛けてみましょう。

高齢者の転倒リスクにも考慮されたサービス付き高齢者向け住宅

高齢者の転倒予防は自宅での対策が最も重要です。普段何気なく置いてあるその新聞紙の束が転倒のリスクになっているかもしれません。まずは家の中を点検してみましょう。
住み慣れた我が家を本当の意味で安心して暮らせる住まいにするため、転倒リスクを見直しましょう。

今回は高齢者の自宅に潜む数々の転倒リスクについてご紹介しました。サービス付き高齢者向け住宅なら転倒リスクにも十分に考慮されたバリアフリー構造の設備はもちろん適度な運動を盛り込んだレクレーションやバランスの良い食事もすべてご提供しております。

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