「持ち家か?賃貸か?」この選択は、年齢を問わず意見の分かれる人生のテーマの一つと言っても過言ではありません。しかし、自由が利く若い頃と違い、歳を重ねるごとに思い通りにならなくなる老後では、住まい選びについてもこれまで以上に慎重にならざるをえません。そのため、老後のベストな住まい選びをするためには、「持ち家と賃貸では何が違うのか」、またそれぞれのメリット・デメリットをしっかりと理解しておく必要があります。

老後の生活に対して「お金」と「健康」に不安を感じている

住まい選びをするにあたり、まずは老後の不安要素について整理したいと思います。

老後に不安を感じる様子

公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、老後の生活において84.4%が不安を感じています。その内訳を見ると、1位は「公的年金だけでは不十分」が82.8%と最も高く、2位は「日常生活に支障が出る」(57.4%)と回答しており、大まかに分けると「お金」と「健康」について不安を感じていると言えます。住宅は、生活の基盤となる場所です。ベストな住まい選びには、これらの2つの不安要素を払拭できるかがカギとなります。

出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/令和元年度

「お金」の面からみた持ち家と賃貸のメリット・デメリット

お金の心配をする様子

老後の収入は一部の資産家を除けば、年金が主な収入源になります。年金の平均受給額は、平成30年度の厚生年金保険·国民年金事業の概況で国民年金は約6万円、厚生年金が約14万円と言われています。持ち家なら家賃がいらないし、年金と貯金を切り崩していけば生活費としては十分と考える方も多いかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか?

もちろん、持ち家のメリットは長年住み慣れた環境で家賃がかからないというのが最大の魅力と言えます。しかし、持ち家の場合に発生する固定資産税は、3年毎に地価が見直され、税額が変わり、住宅地の固定資産税は値上げ傾向にあります。また、長く住めば当然リフォームの必要性もでてきます。10年に一度は大規模なリフォームを想定しておいた方がよいでしょう。その際、数百万単位の費用が突発的に発生することも覚悟しておく必要があります。

一方、賃貸では毎月の固定費がかかるのが最大のデメリットと言えるでしょう。しかし、逆に言えば毎月の支払い額が定まっているため、持ち家のような突発的なリフォームによる支出も必要ないため、住居費用としては計画が立てやすいとも言えます。

「健康」の面からみた持ち家と賃貸のメリット・デメリット

それでは健康面では、どうでしょうか?

膝が痛い高齢者の様子

老後の健康では「足腰の衰え」と「認知症」が2大テーマと言われています。特に「足腰の衰え」についてですが、筋肉量は20歳をピークとして、10年間で6%ずつ低下していると言われています。70歳を迎えると全盛期の30%程度、筋肉量が低下しています。それにより、ちょっとした段差でつまずき、骨折、入院、車椅子生活ということも少なくありません。

そうした状況の中で、持ち家に住み続けた場合はどうなるでしょうか。例えば、子供が巣立った後も2階建ての住宅を維持し続けた場合、足腰が弱っても階段の昇り降りが定常的に発生し、必要以上の掃除もしなければなりません。住み慣れた持ち家で暮らすことは、精神的なストレスがかからないメリットもありますが、筋肉量が低下し足腰が弱っていくことを考えると、これまでと同じ生活をすることは肉体的なストレスがかかるとも言えます。

一方、賃貸住宅でのメリットは、自立型、介護付き賃貸住宅など自分自身の健康状態に合わせて住み替えが可能という点です。但し、引っ越しは重労働となりますし、人気の物件はすぐに埋まってしまいます。今後高齢化が続く中、健康状態が悪化してから物件を探すのでは手遅れということもあります。健康なうちに先を見越して、安心できる住みたい物件に引っ越しておくのも一つの選択肢となります。

しかし、持ち家でも賃貸でも共通して言えることですが、急な病気やケガに気づいてもらえないという問題があります。核家族化が進む中、一人暮らしの高齢者はもちろんのこと同居家族がいたとしても24時間一緒に過ごすことは不可能です。

老後の住まいには、持ち家、賃貸のそれぞれのメリットを持ったサ高住がおすすめ

くつろぐ高齢者の様子

そこで注目したいのが、サービス付き高齢者住宅(サ高住)です。サ高住は、60歳以上もしくは要介護認定を受けた60歳以下の方が入居可能なバリアフリー住宅です。

この施設の特徴としては、他の高齢者向けの施設とは異なり生活の自由度が高いことです。通常のマンション生活と同じように外出、来客、外泊も自由に行うことができます。食事も自分の部屋で自炊することもできますし、併設されている食堂で食べることもできます。こうした幅広い選択肢も自由度の高さと言えるでしょう。

サ高住には、生活相談と安否確認が義務付けられており、緊急時の対応も可能です。また、今は介護の必要がなかったとしても、いつその必要性に迫られるか誰にも予想はできません。持ち家か賃貸かの前に、住まい選びにおいて最も重要なことは、安心して暮らせるかどうかです。何かあった時に気づくのが遅かったでは、取返しのつかないことになるかもしれません。持ち家のような自由な生活と万全なサポートを兼ね備えた賃貸物件であるサービス付き高齢者住宅を考えてみてはいかがでしょうか?