人生100年時代において、介護は切っても切れない関係となっています。そのため、将来の介護に対して不安を感じている方もいるでしょう。

しかし、必要以上に怖がる必要はありません。介護保険制度が充実している国内においては、適切な介護サービスを利用することで、自宅での生活や自分らしい生活を送れるためです。

本記事では介護への不安解消に役立つ予備知識や、おすすめ介護サービスを紹介します。

介護に対してどのような不安がある?

介護の不安を解消するために、まずは他の人がどのようなことに不安を感じているのかを知ることが大切です。

また介護の不安は、置かれている立場によっても異なります。そのため、「介護を受ける高齢者」と「高齢の親を持つ家族」のよくある不安について紹介します。


介護される側の気持ち・不安

介護される側の気持ち・不安を理解することは、親の介護を考えるうえでも重要です。多くの高齢者は自分自身が要介護者になる不安に加えて、以下のような不安を抱えています。

  • 住み慣れた家を離れなければいけないのか
  • 家族に迷惑をかけてしまうのではないか
  • 家族に経済的な負担をかけてしまうのではないか
  • 人生の楽しみがなくなってしまうのではないか
  • 地域のコミュニティに参加できなくなるのではないか

また自分自身が要介護者であるという負い目から、「こんなことを言えばわがままと思われるかも」と、自分の思いを言いにくいと感じる方もいます。しかし、要望はしっかりと共有しないと、家族同士の気持ちがすれ違う原因にもなりかねません。

介護を受ける側はどのような不安があるのかを、家族に伝えることから始めてみましょう。


親の介護に対する不安

高齢の親を持つ家族は、親が要介護者になると様々な負担が発生するため、以下のような不安を抱えています。

  • 親の介護をしながら仕事を続けられるだろうか
  • 親に対して食事や排泄、入浴などの介護をできるだろうか
  • 自分の体力が持つだろうか
  • 親に対して介護のストレスをぶつけてしまわないだろうか
  • 10年も20年も介護をしなければならないのか
  • 経済的な負担に耐えられるのだろうか

このように、今までどおりの生活ができなくなる可能性に加えて、経済的な負担があるため「生活ができるのか」と思う方もいるでしょう。

不安を解消するための予備知識

介護される側と高齢の親を持つ家族の不安は大きく分類すると、「身体的負担」「精神的負担」「経済的負担」の3つが主な要因です。そのため不安を解消するには、それぞれの負担の軽減方法を覚えておくことが重要です。ここでは、各負担の解消に役立つ情報をお届けします。


身体的負担

介護が必要になると、家族の身体的な負担が大きくなります。介護により睡眠時間を十分にとれなかったり、入浴・排泄介助で体に大きな負担がかかったりするためです。

このような家族の身体的負担を解消するためには、必要な介護量に合わせて介護サービスを利用することです。例えばデイサービスを利用することで、日中に買い物を済ませたり、自分の時間を確保できたりします。

介護を受ける本人にとっても、同世代の利用者と話せる機会が作れるため、孤独を感じにくくなるでしょう。人によっては、デイサービスに行くのが楽しみという方もいるほどです。

そのため身体的負担を軽減するためには、どのような介護サービスがあるのかを把握することが大切です。


精神的負担

精神的負担を軽減するには、悩みを気軽に相談できる場所を作っておくことをおすすめします。例えば、かかりつけ医を決めたり、ケアマネジャーなどの相談員と関係を構築したりといった具合です。

今の時点でどこにも相談する場所がないという方は、以下の相談窓口を確認してみましょう。

  • 地域包括支援センター
  • 自治体・社会福祉協議会
  • 医療機関
  • 地域の民生委員

兄弟や姉妹がいる場合は、役割分担をすることで負担を分散することもできます。

また、介護される側の精神的な負担を減らすためには、介護が必要になる前から要望や家族の役割分担について話し合うのもおすすめです。


経済的負担

介護が必要になると、介護サービスを利用するために経済的な負担が発生します。そのため、介護が必要となる前から貯蓄や民間の介護保険への加入など、備えが大切です。

また家族の方が仕事を辞めて介護に専念するのは、経済的に困窮しやすくなるためおすすめできません。一人で介護をするのではなく、介護サービスなどを活用しながら、仕事と介護を両立できる道を模索しましょう。

どうしても介護保険サービスの支払いが難しい方には、利用者負担軽減制度があります。経済的に困った場合は早めに、社会福祉協議会や地域包括支援センターに相談してください。

おすすめの介護サービス

要介護と認定されると、介護保険制度の介護サービスを利用できます。家族の身体的・経済的負担を軽減するためにも、要介護者本人の生活の質を維持するためにも介護サービスの利用がおすすめです。

その中でも自宅の生活を続けながら介護サービスを受けられるのは以下の3つです。本人や家族の状況に合わせて、これら3つのサービスを組み合わせて利用するのが一般的な活用方法となります。


・通所

通所はデイサービスやデイケアと呼ばれる介護サービスです。日中に介護施設でレクリエーションや機能訓練、食事、入浴などをします。介護者からすると日中の介護負担を抑えられ、要介護者本人からすると住み慣れた自宅で生活を続けられるのがメリットです。


・訪問

訪問介護・訪問看護・訪問入浴などの介護サービスです。自宅に介護士・看護師が訪問し、必要な介護を提供します。自宅でも専門的な介護サービスを受けられるため、要介護度が高くなっても自宅での生活を続けられます。


・短期入所

短期入所(ショートステイ)は、介護施設に短期間宿泊する介護サービスです。介護者が旅行や用事などで不在になる期間や、介護者の精神的・肉体的な疲れをリフレッシュするために利用できます。また、ショートステイは最大で連続30日の利用が可能です。

困った場合はすぐにでも相談することが大切

介護の不安を解消するためには、介護保険制度の活用や家族での話し合いが重要になります。しかし、いざ介護が必要になると想定しなかったことが発生することもあります。

もし困った場合でも相談窓口は複数ありますので、すぐにでも相談することが大切です。

また有料老人ホームや介護支援のあるサービス付き高齢者住宅へ入居するのも、不安を解消するための1つの有効な対策方法です。入居先をお探しの方はお気軽にご相談ください。