サービス付き高齢者向け住宅 誕生の経緯

加速し続ける高齢化社会
時代のニーズによって生まれた「サービス付き高齢者向け住宅」

サービス付き高齢者向け住宅とは何かを説明する前に、まず現在日本が抱えている高齢化の現状について解説したいと思います。

2020年9月20日に総務省から発表された「統計からみた我が国の高齢者」によると、2020年9月15日時点での推計値では、日本の総人口は前年に比べ29万人減少しています。一方で、65歳以上の高齢者人口は、前年と比べ30万人増加し過去最多となります。また、総人口に占める割合は28.7%となり、伸び率においても過去最高値となっています。

年々増加している高齢化の波は、 一層増加の勢いを増し20年後の2040年には高齢者人口の割合は35%に、さらに2060年には40%を超えると予想されています。

高齢者人口及割合の推移

高齢化の進む日本ですが、世界と比較した場合はどうでしょうか。
世界各国と比較してみても、日本の高齢者の割合がいかに高いかがよくわかります。
総人口に占める高齢者の割合は、2位以下の国を大きく引き離すダントツの1位です。

高齢者人口の割合

またこのような高齢化には様々な課題があります。
その一つは国の財源です。高齢化に伴い約20兆円にも及ぶ「介護保険制度」や「後期高齢者医療保険制度」の支給額が国の財政を圧迫し続けています。

近年こういった現状を受け、高齢者の病院や介護施設利用で発生する保険支出削減を実現するため、医療や介護は、入院入居から在宅へ促す動きが高まっています。

そこで誕生したのがサービス付き高齢者向け住宅です。


サービス付き高齢者向け住宅は、2011年10月20日付に国土交通省と厚生労働省の共管によって生まれた制度です。
国土交通省はそれまでの複雑な「高齢者住まい法」を改正、厚生労働省は「老人福祉法」に定められた「有料老人ホーム」の定義を見直すことで、高齢者が安心して暮らせるハード面(国土交通省)とサポートサービス面(厚生労働省)を併せ持つ高齢化社会の時代に適したサービス付き高齢者向け住宅の制度が誕生しました。

今後も供給が増えるサービス付き高齢者向け住宅

国土交通省・厚生労働省の共管によるサービス付き高齢者向け住宅は、国の助成金制度の後押しを受け年々供給が増え続けています。

サービス付き高齢者住宅の登録状況

2016年に閣議決定した住生活基本計画(全国計画)によると以下のように高齢者向け住宅およびサービス付き高齢者向け住宅の供給目標が設定されました。

・高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合を2.1%(2014年)から4%(2025年)

・高齢者生活支援施設を併設するサービス付き高齢者向け住宅の割合を77%(2014年)から90%(2025年)

今後も急速に進む高齢化社会のニーズに応えたサービス付き高齢者向け住宅の供給は増え続けることが予想されます。
サービス付き高齢者向け住宅が増えれば、入居者は多くのサービス付き高齢者向け住宅の中から比較・検討することができます。
また運営側も他社のサービス付き高齢者向け住宅との差別化を図るために設備やサービスの内容充実に注力し、価格帯も比較的安価なサービス付き高齢者向け住宅からラグジュアリーなサービス付き高齢者向け住宅まで幅広く供給されることが見込まれます。

サービス付き高齢者向け住宅の特徴

サービス付き高齢者向け住宅は「施設」ではなく「住まい」

サービス付き高齢者向け住宅はその名が表す通り「施設」ではなく
60歳以上の高齢者、あるいは要介護認定を受けた60歳未満の方を対象にした
「住まい」です。
ではどういった「住まい」がサービス付き高齢者向け住宅といえるのでしょうか?

サービス付き高齢者向け住宅の定義

サービス付き高齢者向け住宅は高齢者が安心して暮らせる「住まい」をコンセプトに
以下のような登録規定を設けています。

サービス付き高齢者住宅・登録規定

上記の表の通り、入居者に提供されるサービスは「安否確認」と「生活相談」です。 それ以外の食事や掃除、買い物などの生活支援、入浴・排泄といった身体介護、リハビリは入居者自身が必要に応じて別途外部事業者を選択・個人で契約する必要があります。

またサービス付き高齢者向け住宅の必須条件である「安否確認」「生活相談」以外のレクレーションの頻度や共有施設の充実度は各サービス付き高齢者向け住宅によって異なります。

サービス付き高齢者向け住宅
【一般型】 と【介護型】の違い

サービス付き高齢者向け住宅には【一般型】と【介護型】が存在します。
多くのサービス付き高齢者向け住宅は【一般型】と呼ばれるもので、前述のとおり自立~軽介護度な独り暮らし・夫婦二人暮らしの高齢者向け物件です。
一方【介護型】サービス付き高齢者向け住宅は厚生労働省により「特定施設」指定を受けている施設を差します。
その為、介護付き有料老人ホーム同様のサービスが受けることが可能になり要介護度の高い高齢者も入居することができます。
また【介護型】サービス付き高齢者向け住宅では看護師が24時間常駐、もしくは医療機関のとの連携が整っている場合「看取り」対応も可能です。

【一般型】サービス付き高齢者住宅=比較的自立した高齢者向け住宅
(介護度のレベルが上がると住み替えが必須)
【介護型】サービス付き高齢者住宅=手厚い介護医療サービスが提供により終の棲家にもなりえる住宅といえます。

種類介護レベル認知症看取り介護生活支援
一般型自立~軽度基本的に不可基本的に不可外部サービス
介護型自立~要介護5受け入れ可能医療体制により可能施設職員対応

サービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリット

with コロナ時代の見解を含めたメリット・デメリット

2020年私たちの生活様式を大きく変化させた新型コロナウィルス。
今後ますます加速する高齢化に加え、with コロナ時代の生活様式も踏まえた視点からサービス付き高齢者向け住宅の一般的なメリット・デメリットを解説します。

サービス付き高齢者向け住宅のメリット

  • 高齢であっても入居が可能
  • すべての物件がバリアフリー構造なので安心して生活できる
  • 60歳以上であれば介護認定がなくても入居できる
  • 有料老人ホームよりも初期費用が安い
  • 今後も国の支援により供給が増え続けるため多くの物件から比較選択でき入居待機も少ない
  • 外出等の自由度が高く、プライバシーが保たれる
  • 有料老人ホームや病院と異なりwith コロナ時代であっても比較的制限なく面会可能
  • 独り入居であっても施設のレクレーションなど、自分の都合で利用でき入居者同士の交流がもてる

サービス付き高齢者向け住宅のデメリット

  • 寝たきりや認知症といった重度の介護状態になると施設への移住が必要な場合がある
  • 看護師の配置は義務ではないため「看取り」はできない。
  • スタッフの対応は基本的に日中のみ(夜間は緊急通報システムがほとんど)
  • 一般の賃貸住宅より家賃が高い
  • サービス付き高齢者向け住宅ごとでサービス内容や設備に差がある。
  • (もちろんサービス・設備が高水準であるほど家賃も高い)

一般的には、上記のとおりサービス付き高齢者向け住宅は24時間介護・医療スタッフが常駐しているわけではないため、入居者の健康状態に応じた外部サービスの利用や有料老人ホームへの住み替えが必要になってきます。
(【介護型】サービス付き高齢者向け住宅は【一般型】サービス付き高齢者向け住宅よりも大幅に費用が多くなる分、介護・医療サービスが手厚くなり住み替えの必要性がより少なくなります。)

しかし、やさしい手が運営するサービス付き高齢者向け住宅では、健康状態の悪化による寝たきりや看取りが必要になった場合でも受け入れ可能となるため、サービス付き高齢者向け住宅の最大のデメリットとも言える、健康状態に起因する住み替えの必要性もございません。

サービス付き高齢者向け住宅ご入居者様の声

コレコレでご紹介しているサービス付き高齢者向け住宅のご入居者様から、実際住んでみてどうだったのかという生の声をお聞きしました。

やさしえ三鷹中原  ご入居者様
デイサービスには行っていませんが、棟内で行っている体操やレクレーションに参加し、そこで他の入居者様とお話しするのが楽しいです。一人で入浴するのは不安なのでヘルパーさんに手伝ってもらい、安心しては入れています。掃除や洗濯もお手伝いしてもらっています。こちらのサービス付き高齢者向け住宅には24時間スタッフさんが常駐しているのも、何かあったときに安心できます。

villageリーシュ上石神井 ご入居者様
京都に娘夫婦と住んでいました。子供に迷惑をかけたくない気持ちがありサービス付き高齢者住宅入居することにしました。今は気楽です。同年代の人が多く、話がしやすい環境でお友達もできて幸せです。

デーフェスタ東大宮 ご入居者様
自宅が築50年で古く、夏は暑く冬は寒くて過ごしにくかったのですが、こちらのサービス付き高齢者住宅は一年中快適に過ごせるのでありがたいです。また、夫婦で一緒に住める場所が良かったので、一つをリビング、一つを寝室として自宅にいるときのように過ごせるのも良かったです。入浴や洗濯掃除などの負担が大きいことはヘルパーさんにお願いできるので、安心して過ごせています。

サービス付き高齢者向け住宅はwith コロナ時代に適した安心できる「住まい」

気軽に会えない今だからこそ
求められるサービス付き高齢者向け住宅

60歳を超え高齢者といわれる年齢にしてはまだまだ元気だけれど、いざというときに子供に迷惑はかけたくない親世代と様々な事情で同居は難しいが両親の日々の健康状態が心配な子供世代。

コロナの影響でまだまだ気軽に里帰りも憚られる昨今。バリアフリーの快適なプライベート空間に介護のプロによる対面での安否確認・生活相談サービスを備えたサービス付き高齢者向け住宅はwithコロナ時代の様々なニーズを満たした安心できる最適な「住まい」といえるのではないでしょうか。

コレコレでは、場所や費用、設備、医療サポートなど入居する方とその家族にとってそれぞれ異なるニーズに合わせた、高齢者のための住まい探しのお手伝いをさせていただいております。

物件検索からサービス付き高齢者向け住宅を検索して、理想の住まいを手に入れましょう。