お盆や夏休みは、離れて暮らす高齢の親とゆっくり過ごせる貴重な機会です。

電話では元気そうに話していても、実際に帰省してみると、

「以前より歩くのが大変そう」

「冷蔵庫に古い食品がたまっている」

「薬をきちんと飲めているのかな」

と、暮らしの変化に気づくことがあります。

高齢の親の様子を確認するときは、できていないことを探すのではなく、これからも安心して暮らすために、どのような支えが必要かを一緒に考えることが大切です。

今回は、帰省した際に確認したいポイントを紹介します。

1

室温やエアコンの使用状況を確認する

夏の帰省で、まず確認したいのが室内の暑さです。

高齢になると、暑さやのどの渇きを感じにくくなることがあります。本人が「暑くない」「エアコンは必要ない」と話していても、室温が高くなっている場合があります。

厚生労働省や環境省も、高齢者は熱中症になりやすいため、エアコンなどを適切に使い、涼しい環境で過ごせているか周囲の人が確認することを呼びかけています。

帰省時には、次のような点を見てみましょう。

  • エアコンが問題なく作動しているか
  • リモコンを使えているか
  • 電気代を気にして使用を控えていないか
  • 水やお茶をこまめに飲めているか
  • 寝室やトイレまでの廊下が暑くなっていないか

「暑いからつけて」だけでは納得してもらえない場合は、室温計を一緒に見ながら話したり、タイマーや自動運転を設定したりする方法もあります。

2

冷蔵庫や食事の状況を確認する

冷蔵庫の中を見ると、日頃の食生活や生活管理の変化に気づけることがあります。

確認したいのは、食品が多いか少ないかだけではありません。

  • 賞味期限や消費期限を過ぎた食品が多くないか
  • 同じ食品がいくつも買い置きされていないか
  • 食べかけの料理が長期間置かれていないか
  • 冷蔵庫が詰まりすぎていないか
  • 飲み物やすぐに食べられる食品があるか

冷蔵庫に食品を詰め込みすぎると冷気が循環しにくくなり、食品の安全管理にも影響します。消費者庁は、冷蔵庫を10℃以下に保ち、詰めすぎないことなどを食中毒予防のポイントとして案内しています。

夏は食欲が低下しやすいため、最近の食事量についても自然に聞いてみましょう。

「ちゃんと食べている?」と質問するだけでなく、

「昨日は何を食べた?」

「最近、よく作る料理はある?」

「買い物はどこでしている?」

など、具体的に聞くと普段の様子がわかりやすくなります。

調理が負担になっている場合は、配食サービスや家事支援、家族による食品の定期配送なども選択肢になります。

3

薬を正しく飲めているか確認する

複数の薬を飲んでいる場合、飲み忘れや飲み間違いが起きていないかも確認したいポイントです。

  • 薬が予定どおり減っているか
  • 古い薬が残っていないか
  • 薬の保管場所が決まっているか
  • 朝・昼・夜の区別ができているか
  • 通院日を把握しているか

注意:本人の判断で薬を減らしたり、家族が処方内容を変更したりしてはいけません。気になることがあれば、かかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。

服薬カレンダーや曜日ごとの薬ケースを使うほか、訪問看護や薬剤師による居宅療養管理指導など、専門職の支援を利用できる場合もあります。

4

歩き方や家の中の動線を確認する

電話ではわかりにくいのが、立ち上がりや歩行の変化です。

帰省した際には、普段の動きをさりげなく見てみましょう。

  • 椅子から立ち上がるのに時間がかかる
  • 壁や家具につかまりながら歩いている
  • 以前より歩幅が小さくなった
  • つまずくことが増えた
  • トイレに急いで向かう様子がある
  • 階段の上り下りが難しそう

消防庁は、高齢者の家庭内事故として、転倒や転落などが多いことを挙げています。

床に新聞や荷物が置かれていないか、電源コードや小さな段差がないか、夜間の廊下やトイレが暗くないかも確認しましょう。

必要に応じて、手すりの設置、家具の配置変更、滑りにくい履物への変更などを検討します。介護保険を利用した住宅改修の対象になる場合もあるため、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すると安心です。

5

掃除・洗濯・ごみ出しが負担になっていないか確認する

部屋の状態は、体力や気力の変化を示すことがあります。

以前は整理されていた家に物が増えていたり、洗濯物がたまっていたりしても、すぐに「だらしなくなった」と判断しないことが大切です。

腰や膝の痛み、息切れ、視力の低下、暑さによる疲労などによって、家事が難しくなっている可能性があります。

次のような変化がないか見てみましょう。

  • ごみ出しの日を間違える
  • ごみ袋を運ぶのがつらそう
  • 洗濯物がたまっている
  • 浴室やトイレの掃除が難しくなっている
  • 室内に物が増え、通路が狭くなっている
  • 郵便物が未開封のままたまっている

本人が困っている場合は、家事代行や訪問介護、自治体の生活支援サービスなどを調べてみましょう。

6

会話や記憶の変化を確認する

久しぶりに会ったときは、会話の様子にも注目してみましょう。

年齢とともに物忘れが増えることはありますが、暮らしに支障が出ている場合は、早めに専門家へ相談することが大切です。

たとえば、

  • 同じ話や質問を何度も繰り返す
  • 予定や日付を頻繁に間違える
  • 財布や鍵を何度も探している
  • 料理や家電の使い方がわからなくなった
  • 以前好きだったことに関心を示さなくなった
  • 怒りっぽくなった、または元気がなくなった

といった変化がないか確認します。

本人を問い詰めたり、その場で認知症だと決めつけたりせず、気になる変化を記録しておくと、医療機関や地域包括支援センターへ相談するときに役立ちます。

7

お金や契約に不自然な点がないか確認する

高齢の親がお金の管理に困っていないかも、さりげなく確認したいところです。

  • 未払いの請求書がたまっている
  • 同じ商品を何度も注文している
  • 身に覚えのない契約書や商品がある
  • ATMや銀行の手続きに困っている
  • 光熱費を極端に節約している
  • 知らない相手から頻繁に電話がある

本人のプライバシーを尊重しながら、「困っている支払いはない?」「最近、変な電話は来ていない?」と会話の中で聞いてみましょう。

家族だけで対応が難しいときは、自治体の消費生活センターや地域包括支援センターなどに相談できます。

8

緊急時の連絡方法を確認する

体調不良や災害が起きたとき、誰にどのように連絡するかも確認しておきましょう。

  • 緊急連絡先が電話の近くに貼られているか
  • 携帯電話を充電できているか
  • 家族や近隣の人の番号が登録されているか
  • かかりつけ医や利用中のサービス事業所を把握しているか
  • 避難場所や避難経路を知っているか
  • 持病の薬やお薬手帳をすぐ持ち出せるか

スマートフォンを持っていても、緊急時に操作できるとは限りません。電話のかけ方を一緒に確認したり、連絡先を大きな文字で紙に書いたりする工夫も役立ちます。

帰省時に使えるチェックリスト

短い滞在でも、次の項目を確認すると暮らしの変化を見つけやすくなります。

🏠 住環境

☐ エアコンが使えている

☐ 室内の移動経路が片づいている

☐ 手すりや照明などの安全設備に問題がない

☐ 郵便物やごみがたまっていない

🍚 食事・健康

☐ 食事と水分を取れている

☐ 冷蔵庫に古い食品がたまっていない

☐ 薬を予定どおり飲めている

☐ 通院を続けられている

🚶 日常生活

☐ 立ち上がりや歩行に大きな変化がない

☐ 掃除・洗濯・買い物を無理なく行えている

☐ 会話や記憶に気になる変化がない

☐ お金や契約で困っていない

🚨 緊急時

☐ 家族や支援者へ連絡できる

☐ 緊急連絡先がわかる場所にある

☐ 災害時の避難方法を確認できている

気になる変化があったときは、家族だけで抱え込まない

高齢の親の変化に気づくと、「もっと早く気づけばよかった」「自分が支えなければ」と焦ることがあります。

しかし、家族だけですべてを担う必要はありません。

地域包括支援センターでは、高齢者の暮らしや介護、医療、認知症などについて相談できます。すでに介護サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーにも相談しましょう。

訪問介護や配食、見守りサービス、福祉用具、住宅改修などを組み合わせることで、自宅での暮らしを続けやすくなる場合があります。

一方で、夜間の不安が強い、転倒が増えた、食事や服薬の管理が難しいなど、自宅での生活に心配が増えてきた場合には、サービス付き高齢者向け住宅などへの住み替えも選択肢の一つです。

大切なのは、本人がどのような暮らしを望んでいるかを聞き、元気なうちから家族で話し合っておくことです。

まとめ

お盆の帰省は、久しぶりに家族で過ごすだけでなく、高齢の親の暮らしを確認する機会にもなります。

室温、食事、服薬、歩行、家事、会話など、普段の生活を一緒に過ごしながらさりげなく見てみましょう。

できなくなったことを責めるのではなく、

「これからも安心して暮らすには、何があればよいだろう」

という視点で考えることが大切です。小さな変化に気づいたら、家族だけで抱え込まず、地域の相談窓口や専門職を頼りながら、本人に合った暮らし方を一緒に考えていきましょう。